生まれたての放課後。
………好きな子ができた。
そいつはモテるヤツだった。
周りとは違う魅力があるヤツだった。
ただ純粋に、好きだった。
告白した。つき合った。時がたつ。
なぜだか、好きなヤツのことを信じられなくなっていった。
ちゃんと好きなのに。
いつしか支配下におきたくなった。
自分のもとに留めておきたかった。
目を離したくなかった。
縛りつけた。こわがらせた。おびえさせた。
ひどいことをした。
ふたりの立場を上と下に分けた。
“言葉”と“力”で完全に束縛した。
学校への道のり、ぽろりぽろりと宏くんは言葉を落とし続けた。
「あの頃あいつが貼り付けたような笑顔しか見せなかったのは、俺のせいだ」
過去の出来事を思い出して、もう一度 脳みそに擦り込むように。
わたしに聴かせながら、まるで自分の確認作業のように、宏くんはしゃべりつづけた。