生まれたての放課後。
ガラッとドアを開けて、気温の低い教室に到着した。
宏くんに続いて足を踏み入れる。
「別にあいつのこと、まだ好きなわけじゃない。」
「え……?」
さっきから宏くんは、よく分からないことを言うね。
「安心した」って言いながらも、不安そうな顔と声で。
寂しそうだ、また。
「過去に戻れたら、あいつに手を出した俺を、俺が自分でぶん殴りたい。泣かせた分、巻き戻したい。ふざけたこと言う前に、ちゃんと、手放してやればよかった」
「………後悔、してるの、宏くん」
俺のせいだ、って、さっき言った。
不安そうに揺れながら、悔しそうに絞り出した言葉。
宏くんは、自分を、責めてるんだ。
「宏くん」
好きだと思った。
冬の窓の外を見つめながら、冬空の下で過去を思い出しながら、自分のあやまちに気がついてこうやって後悔できる、宏くんが。
……ああ、大好きだなあ。