生まれたての放課後。
「……あ、変な話聞かせてごめんな」
1年前と同じ光景だ。教室にふたり。
だけど今日、やっと分かったよ。
宏くんの表情のことも、あの言葉のことも。
………ひとりで抱えるのは、悲しいよ。
「ごめん寒いのに長話。早く帰ろ」
「…寒いのに、重い過去ひとりで背負ってたら宏くん、ほんとに凍えちゃうよ……」
わたしは、そんなのいやだよ。
見てるだけでよかった。話せたらいちにち幸せな日だった。
でももうダメだ。
宏くんは、寒がりなのに。
「……宏くんはきっと、ずっとそのことを忘れないんでしょ」
ずっと背負って。ずっと後悔するでしょう。
わたしは、彼のこれからに深くなって関わっていきたいよ。
「…茶倉?」
宏くんが驚いた顔をする。不思議そうにしている。当たり前だ。
だけど、溢れて止まらないんだもん。
寒い中で、ひとりにしたくない。
「……だから、いま勝手にわたしが、宏くんを許す」
あなたが自分のこと許せなくても、後悔しつづけても。
わたしが、許すよ。