生まれたての放課後。





しかもサラッと“茶倉”って呼んでくれた……!


初会話なのに、すごく自然だった。

さすが渡辺宏。



なんて思って感動していたけど、宏くんは実際、もっとすごかった。




「……ひ、宏くん、消しゴム落ちてたよ」

「お? あ、さんきゅ。気づかなかった」



数学の授業が始まって。

クラスメートの多くが寝たり内職してる中、きちんとノートをとっている宏くんに、わたしはおずおずとそれを差し出した。



「…………」



ころんと手のひらに落とされた消しゴムを見たあと宏くんはきょとん、とした顔でしばらく動かずにいて。


え……あれ、どうしたのかな。

わたしなんか変なことしたかな……



「……あの、宏く」

「茶倉って俺の名前 知ってたんだ」

「えっ?」



あ、……下の名前!

“宏くん”て! 思いっきりファーストネーム!

今日席が隣になったばっかりの初会話の人にいきなり下の名前にくん付けされたら! そりゃあ………っ



ああもう! わたしのバカ!!




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