生まれたての放課後。






「………だってあの…宏くんだよ?」





ベッドの上でお馴染みのテディベアに向き合って今日の出来事を報告。



寡黙なベアはなにも意見を言ってはくれないけど、べつにいい。聞いてくれるだけで、べつにいい。


だってこんなこと友達に話したら、勘違いされるに決まってる!

誤解が生まれるもん!




そうじゃなくて、アイドルとかモデルとか、有名な芸能人と話せたときの感覚に似てる。


芸能人とふたりでたのしくお話できたら、うれしいでしょ。




「ほら、憧れ、っていうか」




そう、憧れ、っていうか。

うん。そうゆう、かんじ。


……席が隣になってよかった。




「……明日も話せるかな…」





なにも話さないベアは、この時なんて言ってただろう。

毎日毎日、こんな報告するわたしを見て、なにを思っていただろう。



鈍感め、って笑っていたかな。






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