クール女子と大泥棒が恋すると、
5番
佐々木先輩たちは先生に言わなかったみたいで、目撃者も昼休みだったから少なく、おおごとにはならなかった。
「千歳、帰ろう。」
放課後、千歳に話しかける。
千歳は驚いたように私を見上げた。
「陽も待ってる。」
「俺のこと、怖くないの?」
「……怖くない。」
怖いのは千歳が見ていた『誰か』。
「お前……ホント変なやつだな。」
「そんなことない。」
「……そうだな。帰ろう。」
千歳は私の頭を優しく撫でた。