クール女子と大泥棒が恋すると、
千歳side
学校に着き、予鈴が鳴るまでボーッとしていた。
予鈴の数分前、伊緒が教室の扉を開けて入ってきた。
伊緒はまっすぐ俺の方に向かってきた。
「千歳。」
「…………何。」
いつもはそんなに表情に変化がないけど、
今日は誰にでも分かるくらい泣きそうな顔をしている。
「……ちゃんと、話を聞かせて。
何か理由があるんでしょ?」
「………………。」
俺が何も言わないまま、本鈴が鳴った。