クール女子と大泥棒が恋すると、
「着たくないの?
さっきまであんなに着たそうに着物見てたのに。」
「別に。」
見られてた……。
「着てみてよ。俺が見たいの。」
「何言って……。」
こいつおかしいし。
「店長、お願いします。」
「もちろんです!」
私は奥から再び出てきたおばさんに試着室に連れていかれた。
「着物を着るのは初めてですか?」
「いや……浴衣なら……」
「旦那……宮野さんにはね、ごひいきにしていただいてるのよ?」
確かに千歳は和服が大好きだ。
「ボスにも負けない和服好きみたい。」
上品に笑うおばさんはとても綺麗だと思った。
やっぱり着物を着ると綺麗になるのかな……。
「ほら、着れましたよ?
髪も結いましょうか?」
「あ、はい……。」
す……すごい……。
ちゃんと似合ってる……かも……。
おこがましい……。
おばさんは髪を上の方でお団子にしてくれて、かんざしまで付けてくれた。