クール女子と大泥棒が恋すると、




「ほら、旦那に見せてあげてください。」


試着室から押し出され、ふらついたまま何かにぶつかった。



「う、わ……」


ぶつかったのは千歳。


腕をつかんでちゃんと立たせてくれる。


顔を見ると、ちょっと驚いた顔をしていた。



「あ、の……」



うわ……いっちょまえに緊張してるし……。







「…………似合ってる……。すごく。」



え……。

似合ってる、って言った……。

しかもすごく!


顔、直視できない……。



見たいな……。


今、どんな顔してるのかな……。


照れたり……してたりして……。




そっと顔を上げ、千歳を見ると、千歳は柔らかく笑った。



「綺麗だ。」














あ……………。


違う……。



目が……違う……。



私を見てない。






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