クール女子と大泥棒が恋すると、
「……分かった。」
涙を止め、なんとか声を絞り出す。
「ごめん。」
「じゃあ……
私を好きになってくれなくてもいいから、
私を……紗夜さんと二度と間違えないで。」
きっと佐々木先輩のときも私を紗夜さんと間違えたんだ。
紗夜さん。
1度だけ、千歳に写真を見せてもらったことがある。
3人で家で撮ったという写真。
私からしたら紗夜さんはあまりにも綺麗すぎて、
女の子。
長い黒髪はすごくまっすぐで、
笑顔は輝くほどで、
今までに見たどんな女優やモデルよりも
可愛い女の子だと思った。
紛れもなく、
千歳は紗夜さんが、紗夜さんは千歳が、
好きだったんだね。
うらやましいな、
でも、
私を紗夜さんに置き換えてほしくなかった。
私も千歳が好きだから。
その目に映るのは私がいい。