クール女子と大泥棒が恋すると、





伊緒side




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「まぁ、こんな感じ。」


「……」




やっと出会えた大切な人を亡くして、

千歳はどんな気持ちだったんだろう……。



どんな……気持ちなんだろう……。




「あいつは、しょうがない、って割りきれない。


完璧主義だ。



だから忘れられない。


引きずってしまう。


背負ってしまう。



自分のせいだって、あいつは今でも思い込んでる。」




それは千歳が過去を話してくれた日も聞いた。



『俺は母親と恋人を殺した。』



って。




そんなことないのに。




「悲しい性(さが)だよ。」



新見さんは寂しそうにそう呟いた。





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