クール女子と大泥棒が恋すると、
ずっと好きだった。
本当に愛していた。
世界中の誰よりも。
いとおしくて、儚くて、温かい存在。
目からは涙が落ちた。
すぐ泣くのは俺の悪い癖だ。
「紗夜」
『紗夜』は俺の背中に手を回して、「ハイ」と呟いた。
大丈夫。
紗夜はここにいる。
「もっと、早くお前に出会えてればよかった……。」
「守ってやれなくて、ごめん。
愛してくれて……ありがとうっ……」
「……っうんっ、うん……」
もう暗くなった空に星が出ていて、
「もう大丈夫。」と
紗夜が笑っているように感じた。
お前に会えて良かった。
伊緒。