クール女子と大泥棒が恋すると、
「伊緒、立てるか?」
「うん……」
伊緒はゆっくりと立ち上がり、
俺につかまった。
「悪かった。送る、って言ってやれなくて。」
「ううん」
伊緒はにっこりと微笑んだ。
なんで……そんなに嬉しそうなんだよ……。
立ち上がったばかりでフラフラしてる伊緒を俺はもう一度抱きしめた。
「千歳?」
「ごめん……。」
「エヘヘ……。千歳はホント他人のことばっか心配してる……。」
「それはお前だ。バカ。」
「バカじゃないもん。今回は校内6位だったし。」
伊緒は俺の背中に手を回し、着物をキュッと握った。
そのあとは無事に伊緒を家まで送り届けた。