クール女子と大泥棒が恋すると、
アジトに着き、ボスの前に立つ。
「久しぶりね、千歳」
「お久しぶりです。」
どこまでも暗い瞳にまっすぐ見つめられる。
「最近会いに来てくれなくて寂しかったわ?
仕事の調子はどう?」
「ここのところ仕事はしていません。」
ボスが目を細めた。
「別に泥棒をやめようとしてるんじゃありません。
この組織を抜けたいんです。」
「っ……」
ボスの目はギロッと見開かれた。
「大切な人ができました。」
「そんなの許さないっ!!」
ボスはものすごい形相で俺をにらんだ。
「ボスにはお世話になりました。
本当に感謝しています。
ですが、この組織の『正体がばれたら殺す』というやり方には賛同できません。
実際、俺自身そのルールによって助けられたこともありました。
それでも、俺は誰かの命を奪ってまで泥棒を続けたいとは思えないんです。」
「…………そんなの……許さない……」
ボスは同じ言葉を呟いた。
「ハウメア!!」
ボスが呼んだその名前。
3番……