クール女子と大泥棒が恋すると、




アジトに着き、ボスの前に立つ。



「久しぶりね、千歳」


「お久しぶりです。」



どこまでも暗い瞳にまっすぐ見つめられる。



「最近会いに来てくれなくて寂しかったわ?

仕事の調子はどう?」



「ここのところ仕事はしていません。」



ボスが目を細めた。



「別に泥棒をやめようとしてるんじゃありません。

この組織を抜けたいんです。」



「っ……」



ボスの目はギロッと見開かれた。



「大切な人ができました。」



「そんなの許さないっ!!」



ボスはものすごい形相で俺をにらんだ。




「ボスにはお世話になりました。

本当に感謝しています。

ですが、この組織の『正体がばれたら殺す』というやり方には賛同できません。


実際、俺自身そのルールによって助けられたこともありました。


それでも、俺は誰かの命を奪ってまで泥棒を続けたいとは思えないんです。」






「…………そんなの……許さない……」




ボスは同じ言葉を呟いた。





「ハウメア!!」



ボスが呼んだその名前。









3番……






< 295 / 323 >

この作品をシェア

pagetop