クール女子と大泥棒が恋すると、
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昼休み。
校舎裏の物置小屋の影にて。
「あ、来たよ!伊緒!」
「見てればわかる。ていうかうるさい。」
ああ……。私も犯罪者になってしまった……。
「ごめんね……。こんなところまで来てもらって……。」
「別にいいけど。」
千歳はちょっと不機嫌そう。
柏木さんはもじもじしている。
「あの……私っ、千歳くんのことが好きなの!
千歳くん、私のこと目で追ってたよね……!」
言っちゃった……。
千歳、なんて答える?
千歳の回答を待つ。
「ああ、あんたか……。
そだね……。目で追ってたかも。」
あ……
ヤバい。
泣く……。
「ホントっ!?じゃあ、付き合ってくれない??」
千歳はポリポリと頭を掻いた。
「えっと……」
あれ、今、目が合ったかも……。
「ハ~、バカだなぁ。」
え、それ私のこと言ってるよね……!
「悪いけどさ。
俺が見てたの、アンタじゃなくてアンタの髪なんだよね。」
「か、髪……?」
「そ。意味ありげな行動して悪かった。
アンタのことは全く好きじゃないから。」
爽やかな笑顔でかなりひどいことを言う……。
「あ……ご、ごめんなさい!」
柏木さんは走ってその場から去った。