クール女子と大泥棒が恋すると、
一人になった千歳は私たちが隠れている物置小屋に近づいてきた。
「ちょっ、ヤバい!伊緒、隠れて!」
「多分もう見つかってるから。」
「お前ら、何やってんの?」
千歳は不気味に笑った。
「えっと……お邪魔しちゃうわね!オホホ……
じゃあ伊緒。後はごゆっくり~」
「ちょっ、美月……」
美月は薄情にも逃げ出した。
私は千歳にがっちり捕獲されているため、
動けない。
というのも、物置小屋と千歳の間に私が挟まっているわけで……。
「えっと……ごめんなさい。」
「お前ら悪趣味だな。」
「提案したのは美月。私は悪くない。」
「開き直んな。」
千歳は私の頭をペシッとはたいた。
「痛い。っていうか、千歳は本当に髪フェチだったんだな。超キモいんだけど。」
「お前ホント腹立つんだけど……」
千歳は本当に怒っているっぽい。
「…………紗夜の髪に似てただけだよ……。」
あ……
そっち……。
「お前、何涙目になってんだよ……。」
「だって……」
お前が浮気ばっかするからだ、バカ!
「まぁ、お前も俺のこと好き、とか言っといて馬渕と仲良くしてたからな。
おあいこだ。」
「全然あいこじゃない。
千歳は紗夜さんがらみで前科が多すぎる。」
「えー」
「なんか千歳の方が悪い気がしてきた。
制服で鼻かんでやる。」
「おまっ、バカ!」
千歳はまた私の頭をひっぱたいた。