クール女子と大泥棒が恋すると、
伊緒side
「じゃあ行ってくる。
早めに帰ってこれるから。」
「うん。」
弟の陽(よう)を保育園に預け、高校の入学式に向かう。
私の名前は瀬川伊緒(せがわいお)。
周りからは『無表情』とか『無感情』とか言われ続けて15年。
専らの関心事はお金とかわいい弟。
それ以外はどうでもいい。
それが『無感情』なんて言われる原因だろう。
両親は九州に転勤中。
入学金を払った高校を諦めるのは嫌だったので、私はここに残った。
私にくっついて陽も残った。
私について語れることなんてこれくらいだ。