こんな能力なんていらなかった—鳥籠の中の鳥は愛を詩う—
「……ごめんな、フィリアム」
申し訳なさそうな顔をするお父さんに、フィリアムは怪訝な顔をした後……表情を凍りつかせる。
「……ほんと、のこと……なんだ」
「フィリアム、貴女を外に連れて行く時に翼を隠す術を施したの。貴女の翼は目立つから」
初めて知ることばかりで、段々と頭が容量いっぱいになりつつある。
それを察したのかお父さんは「続きはまた明日」と強引にベッドに連れて行こうとする。
「やだ……」
まだまだ知りたいことはたくさんある。
例えば翼を切り落とした詳しい理由とか。
地上にいる友人だとか。
お父さんがどうして数日の間いなかったのか、とか。
なのに、お父さんが微笑むのと同時に瞼が下がる。
何か術をかけられたに違いない。
朦朧とした意識の中でお父さんを見つめる。
お父さんが困ったように微笑むのと同時に何も考えられなくなった——