こんな能力なんていらなかった—鳥籠の中の鳥は愛を詩う—
「え?それ聞いたことない……」
「いいタイミングだから話してやる」
その瞳の持つ意味を、今までは教えてこなかった。必要なかったからだ。
フィリアムは外の人間と関わったことがない。今まで関わった世界ではフィリアムの容姿はなんら問題とされなかった。問題として取り上げるほどのものではなかったのだ。
だが、これから行く場所は違う。
フィリアムの姿は良くも悪くも影響を与えるものだ。知らなかったではすまされない。
害を受けるのは自分達ではなく、フィリアムなのだから。
「その瞳を持っていて、歴史上で知られているのはただ一人、創造主だ。つまり、お前は創造主と全く同じ性質を持ってるってことだ」
「そーなの?」
さほど驚いていないフィリアムに肩を落とす。あたかも、セルファの年齢を聞いたかのような(つまり大して興味がない)反応をしてくれちゃった娘に、頭を抱える。
「『そーなの』ってお前、もうちょっと危機感をだなぁ……」
「私はそれよりも、孔雀について知りたい」
「は?」
「ノームが言ってた、孔雀と同じ瞳だって。孔雀ってどんなの?動物?植物?」
フィリアムは先ほどよりも、遥かに興味津々といった様子で、セルファに問い募る。
「孔雀は……鳥だよ」
「鳥?」