こんな能力なんていらなかった—鳥籠の中の鳥は愛を詩う—
これが親のエゴというものか。
実感して、一人自嘲する。
世の中の親は皆同じように思うものなのだろうか。それすらも分からない。なんとも情けない親だ。
溜息をつこうと固く結んでいた口をほどいた時、自分のセンサーが俄かに反応する。それと同じくしてフィリアムの足も止まった。
全員とも少し先にある藪の方を見つめている。
《そこにいるわ》
エアリエルは微かな囁き声で告げる。微かすぎて、エアリエルが耳元で話さなければ風の音にかきけされてしまいそうな小さな声。
「分かった」
自分も小さい声で話す。そしてエアリエルを徐に掴むと懐に突っ込んだ。
喚かれる前に口を指で塞ぐ。
「そこで息を潜めてろよ?」
返事をさせる気はない。そのまま内側のポケットに突っ込んだ。
「お父さん乱暴……」
「こいつにゃこれくらいが丁度いいんだよ」
自論を語った時、茂みが動いて、そこから覗いたものにギョッとする。
そして、一歩下がった。
「ん?なんだおめーら。ここらじゃ見ねぇ顔だな」
その男は三人を順繰りに見回した後、はてと首を傾げる。
「なんでそんな離れるんだ?」
「普通離れるわっ!」
「俺何もしねぇよ?」
「〜〜〜話す前に!その手に持ってる凶悪なもんを、まずおろせ!!」