こんな能力なんていらなかった—鳥籠の中の鳥は愛を詩う—



《来なくちゃダメ!!》


 フワリと一人でに手が浮く。


「え……」


 スタスタと勝手に足が窓辺に向かって、自分の手が勝手に窓を開ける。


「え?え?ええええ??」


 ハッとする。
 このお隣さんはエアリエル。つまり、空気の妖精。彼女らは風を操り悪戯をする。

 この自分の体が望みもしないことをするのは彼女のせいか、とようやく納得がいく。


「やめて!」

《いやよ。フィリアムは私と一緒に行くの》

「私は行きたくない!」

《行くったら行くのよ!!!》


 とうとう体は窓の外へ飛び降りる。
 空はまだ暗い。星々が瞬く時間。

 星に照らされながら自分の足は迷いなく
森へと向かう。


「この先には崖しかない!綺麗なものなんて何にもないからお家に帰して!!」


 足取りはしっかりとしてるけれど、心はもうボロボロだ。

 エアリエルが何をする気なのか、分からなくて、お母さんとの約束を破った罪悪感で、目に涙が浮かぶ。


《あら、泣いてるのン?》

《可愛い〜》


 こうしてる間にも、お隣さんはどんどん集まってくる。


《見えたわよ》


 横に向けてた顔を前に戻す。
 森の終わりが見えた。

 光が木々の間に見える。


< 7 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop