こんな能力なんていらなかった—鳥籠の中の鳥は愛を詩う—
《来なくちゃダメ!!》
フワリと一人でに手が浮く。
「え……」
スタスタと勝手に足が窓辺に向かって、自分の手が勝手に窓を開ける。
「え?え?ええええ??」
ハッとする。
このお隣さんはエアリエル。つまり、空気の妖精。彼女らは風を操り悪戯をする。
この自分の体が望みもしないことをするのは彼女のせいか、とようやく納得がいく。
「やめて!」
《いやよ。フィリアムは私と一緒に行くの》
「私は行きたくない!」
《行くったら行くのよ!!!》
とうとう体は窓の外へ飛び降りる。
空はまだ暗い。星々が瞬く時間。
星に照らされながら自分の足は迷いなく
森へと向かう。
「この先には崖しかない!綺麗なものなんて何にもないからお家に帰して!!」
足取りはしっかりとしてるけれど、心はもうボロボロだ。
エアリエルが何をする気なのか、分からなくて、お母さんとの約束を破った罪悪感で、目に涙が浮かぶ。
《あら、泣いてるのン?》
《可愛い〜》
こうしてる間にも、お隣さんはどんどん集まってくる。
《見えたわよ》
横に向けてた顔を前に戻す。
森の終わりが見えた。
光が木々の間に見える。