だから私は雨の日が好き。【夏の章】※加筆修正版
決意...ケツイ
運営本部は二階の照明室のすぐ隣。
会場全体をガラス窓から見渡せるところにある。
今回の会場は二千名以上を収容できる大きなホールで、二階席がVIPシートになっている。
運営本部はVIPシートにすぐに行ける場所にあるので、大切なお客様の対応をするにも最適なのだ。
尾上部長と水鳥さんは、運営本部でクライアントと今回のプロデューサーと一緒に会場全体の統括指揮を行なっている。
ライトダウンの時間は三十分。
その間、来賓のスピーチなどが行なわれる。
ライトダウン終了後、ブライダルフェアはフィナーレを迎える。
色とりどりのライトの花。
会場を埋め尽くす光の数々は、さぞや綺麗なことだろう。
ライトダウンの間に最終配置を確定し、フィナーレまでの流れを形成する。
最終伝達を本部に届けた後は、舞台袖でトラブル対応にあたることになっている。
別に舞台袖じゃなくてもいい、って言ったのに。
櫻井さんが見てこい、っていうのなら、きっとこの先役に立つことなのだと思う。
舞台袖には、すでに森川達が待機をしている。
運営本部からは見ることが出来ないが、今頃バックステージは戦争のようになっているのだろう。
森川達がどんな風に現場をさばいているのかは、確かに興味があった。
それもあって、大人しく舞台袖を見に行くことに決めたのだ。
まずは、運営本部への御遣い。
二階の運営本部のドアの前で一度深呼吸をし、口角を上げてドアに手を掛けた。