だから私は雨の日が好き。【夏の章】※加筆修正版
「・・・ありがと。言えてよかった」
「別に。聞いてやるくらい、いつでもするさ。解決は出来ないけどな」
そう言った森川を見てにっこり笑って首を振る。
そんなことはないのに、と思った。
いつもそのままでいいんだよ、と背中を押してくれる一言にどんなに救われていることか。
「また何かあったら言えよ」
そうぶっきらぼうに言った。
そのそっけなさが、今の私にはとても有り難かった。
日曜日の夜。
早い時間ではあるが、私は程よくお酒が回っていた。
緊張と濃い目の焼酎は、頭の中をぼんやりとさせている。
なんだかぷつりと切れた緊張のせいで、眠気が襲ってきた気がする。
時計に目をやると、まだ九時過ぎだ。
明日が仕事であることを考えれば、ここで帰るべきなのだろう。
けれど、今の私には立ち上がる気力がなかったので座ったままでいた。
その後は他愛もない話をしていた。
もう酔っ払っているのはわかっていた。
それでも、まだのんびり飲んでいたい気分だった。
森川も二重がくっきりしていたけれど、もう少し付き合ってくれるようだった。
最後の焼酎を二人のグラスに分け合って、瓶の中身を空にする。
最初の焼酎もほとんど減っていなかったので、軽く二人で二本を呑みきった。
なんだかいつもより酔っ払っているのは、それのせいもあるに違いない。
それでも、今日はとても元気になれた気がする。