だから私は雨の日が好き。【夏の章】※加筆修正版





「いい部下ばかりが集まってるじゃないか。水鳥嬢といい、山本さんといい、頭のキレる美人ばかり集めたのか?」


「羨ましいだろ。人徳だ」


「お前に人徳ねぇ。まぁ、昔から人には恵まれてたよなぁ、俺たち」


「だから俺はベンチャーに行ったんだよ。人脈を、信じてたから」


「自信家」


「なんとでも」




親しみのこもった言葉の使い方は、大学時代からの戦友だからこそなのだろう。


オフィシャルパートナーのディレクター。

うちの会社にとってはクライアントの次に大切なお客様も同然。

それを感じさせないのは、ディレクターと尾上部長の信頼度なのかも知れない。



尾上部長と大学時代の同期だったそのディレクターは、やはり頭の回転の良いとても仕事の出来る人だ。

部長よりも貫禄がある。

見た目の年齢で言えば、部長よりも五歳くらい年上に見える。



来年の企画を共同制作しよう、と言ってくれた、うちにとってはいわば『恩人』のような人。

パートナースタッフも自分の部下も同等に扱ってくれる対応に、とても好感を持っていた。




「いい男の周りには、いいスタッフが集まるもんだ」


「違いない」


「あら、自信家ですこと」




自信満々に尾上部長が言い放つと、それを見てディレクターがにやりと笑う。

笑いを含まず冷めた水鳥さんの声にギョッとして全員が振り向いたけれど、その顔は満面の笑みだった。

悪戯っ子なんだから・・・。




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