だから私は雨の日が好き。【夏の章】※加筆修正版
後輩に心配をされてしまった。
確かに調子は悪いけど、今までは気付かれたことがなかった気がする。
この子達もどんどん櫻井さんのようになっていくんだな、とぼんやり考えていた。
「大丈夫。ちょっと暑さにやられたのかも」
「本当ですか?」
「この後も企画書作りだから、問題ないよ」
「何かあれば、手伝いますから。今日は営業部とのミーティングもない日なので」
「ありがとう」
本当に色々な事に気が付くようになった。
松山のいいところも。
篠木のいいところも。
お互いにしっかりと認め合っているからこそ、より成長のスピードが速いんだな、と思った。
こういう成長に気が付く時、櫻井さんは本当にいい仕事をしていると感じる。
森川も櫻井さんの背中をしっかり見据えているのだろう。
目の前に日替わり定食が運ばれてきた。
今日は鳥の唐揚におろしポン酢がかかったさっぱり定食だ。
いつも通り大量のご飯が盛られている。
「じゃあ、まずは食べちゃいましょうか。いただきます!」
「そうだね。いただきます」
嬉しそうにご飯を食べだす松山を見て、なんだか微笑ましくなった。
美味しそうにご飯を食べる姿に元気をもらえる気がする。
間違いなく私は残してしまうだろうけれど、一緒に箸を進めた。
ご飯を食べないと薬も飲めないし。
少しずつでもお腹に入れるために、ゆっくりと話をしながら食べることにした。