だから私は雨の日が好き。【夏の章】※加筆修正版
松山と話しているうちに思ったよりもご飯を食べられた気がする。
一緒にご飯を食べてくれる人がいることは、とても幸せなことだと思った。
食後に二人でお茶を飲む。
セルフサービスのコーヒーを飲めない私に、松山は温かいお茶を持ってきてくれた。
「ありがとう。わざわざごめんね」
「いいえ、気にしないで下さい」
そう言って松山はコーヒーを啜る。
満腹になって少しだけ眠そうだ。
ここ数日、かなり遅くまで仕事をしてもらっているので当然かもしれない。
久しぶりに土日も仕事をさせてしまったので、心配になってしまう。
「松山、大丈夫?休日出勤続いて疲れてるんじゃない?」
「いや、仕事はめちゃくちゃ楽しいいので大丈夫です」
「そう?無理してない?」
「楽しいのでそんなの気付かないですね。ただ・・・」
「ただ・・・?」
そう言うと、松山うーん、と困った顔をした。
言ってもいいものかどうか悩んでいるようだったので、笑顔で先を促した。
「いや、仕事は楽しいんです。でも、それを彼女がわかってくれなくて」
「そっかー。確か年下だっけ、カノジョ」
「はい」
この仕事を理解してもらうのは、そんなに簡単じゃないだろう。
ましてや、広告代理店の企画営業部の仕事なんて。
何より、自分以外の人の仕事を理解するのは、容易なことではない気がした。