だから私は雨の日が好き。【夏の章】※加筆修正版
夏の終わり
湊のことを、深く想い出す季節がやってくる。
それは、苦しい記憶を掘り起こすとき。
あの日。
やってきてしまった。
永遠の別れが。
逝かないで・・・。
祈ったけれど、願ったけれど。
それは、無理なお願いだったに違いない。
私はそのまま立ち尽くしていた。
何も出来ず、目の前の光景を目に焼き付けていたの。
私の身体は、いつもこの人に支えられている。
震える腕の中で、私は埋められない寂しさを埋めようとしている。
これがどんなに非道い行為だとわかっていても、この腕を掴んでしまっている。
離せない。
そう感じる日が、来る気がしている。
空が高くなってきた。
秋の空の気配が、近づいてきている。
また、この季節が来る。
ねえ、湊。
もう一度、名前を呼んで。
もう声すら忘れてしまいそうで、怖い。
力強い腕が、湊の感覚を忘れさせそうで怖い。
切なさばかりが積もっていく。
.....To Be Continued.