だから私は雨の日が好き。【夏の章】※加筆修正版
『運営本部より、最終連絡です。現在お客様の退場を随時行なっております。その間、モデルの衣装整理など、お手隙の女性スタッフはお手伝いをお願い致します』
インカムからディレクターの声がする。
それを一緒に歩いていた森川も聞いたのか、二人で顔を合わせる。
「指示入ったから、スタイリングルームに言ってくるね。控え室は第二本部の近くだから、後から行けるし。どっちも人手は必要だろうからね」
そう森川に告げて、途中で方向を変えて進みだした。
スタイリングルームは会場からほど近い所にあり、かなり広く部屋を繋げてあるので入り口は沢山ある。
ちょうどステージ側出口のところに戻れたので、部屋の方に入る。
中に入るとモデルさんと女性スタッフが勢ぞろいしていて、私が最後のようだった。
「みなさん、お疲れ様でした!」
部屋中に響く大きな声で挨拶をしたのは、さっき会場でスピーチをした会長だった。
VIPの退場は最優先で行なわれ、現在は一般客の退場になっているので会長はバックにいるようだ。
「スタッフの方々のおかげで素晴らしい企画と運営のおかげで、大変素晴らしいイベントとなりました。来年に向けて既に準備はスタートしていますが、更なる成功に向けてまだ頑張りましょう!」