だから私は雨の日が好き。【夏の章】※加筆修正版





「やっぱり。お肌も綺麗ですし、何よりお持ちの雰囲気が柔らかいから。柔らかいお色が似合うと思ってました。素敵ですよ」


「まるで、自分じゃないみたい。なんだか恥ずかしいです・・・」


「そんなことありません。本当に、良くお似合いです。モデルでもご出演出来るくらいに」


「それは無理ですっ!!!!」



全力で否定をすると、それを見たモデルさんがくすくすと笑う。

恥ずかしくなって、二人一緒に笑ってしまった。

鏡に映る自分を見るたび、なんだか自分じゃないようで鏡を凝視したまま固まってしまった。




「ステージで同じ会社の方々がお待ちです。是非ご一緒に記念撮影してきてくださいね」




!?

同じ・・・会社の方々・・・!?


それを聞いたとたん、ステージに向かう気にならなくなってしまった。

自分で見る分にはまぁいいけれど、これをあのチームのみんなに見せるの?


無理無理無理無理っっっ!!!!


頑なに拒否をしたくなり憂鬱な気持ちになっていると、試着を終えた水鳥さんが近づいてきた。

有無を言わせぬ目線と、神々しいまでの美しさを纏って。



紫のカクテルドレスにフリルのチョーカー。

揃いの色のロンググローブに胸まで幾重にも細く重なる色とりどりの宝石のチェーン。

サイドアップされた緩やかな髪は水鳥さんの美しさを寄り一層惹き立てた。




「ここまで来てステージに行かないなんて、言わせないわよ」




ですよねー。


水鳥さんに逆らえる訳もなく。

力なく微笑んで、水鳥さんと一緒にステージに繋がる道を歩いていった。




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