だから私は雨の日が好き。【夏の章】※加筆修正版
栗花落
喧騒...ケンソウ
「そっちの資料の準備は出来たか!?重要資料だから漏れのないように!!」
「モデルの準備は!?もうすぐ照明ダウンするから、時間ないぞ!!」
「ライトダウンのタイミングでモニターに司会者だけが写るから、その間にステージの切り替えすぞ!!」
廊下の至る所で大きな掛け声が聞こえる。
その声にあわせて、沢山のスタッフがバタバタと準備をしている。
今ここで出来ることは雑用しかないが、雑用の間に企画書を見つめ進行方法を確認していく。
タイムキーパーからの無線が、左耳から聞こえてくる。
バックヤードの喧騒の中で、重要無線に耳を澄ます。
出演モデルの控え室のすぐそばにある第二運営本部に向かって、沢山の資料を抱えて汗が流れるのも気にせず急いでいた。
ブライダルフェアの本番は、嵐のように凄まじい現場だった。
けれど、雑務に走りながら煌びやかな舞台が作られていくのを目の当たりにした。
企画はもちろん、コンセプト、モチーフ、運営と準備をすることが次から次へと溢れてくるが、それが積み重なって舞台が完成する。
その様子を見て、この仕事の醍醐味を見つけた気がした。