だから私は雨の日が好き。【夏の章】※加筆修正版
五月雨
宴会...エンカイ
「お疲れ様!みんな、よく頑張った!」
尾上部長の声に合わせて、全員でビールのグラスを高く掲げる。
がちゃりと響く乾いた音が鳴った瞬間、全員がごくごくと喉を鳴らす。
それぞれガタン、とグラスを机に置いて一息ついている中、私と水鳥さんは空になるまでビールを煽り続けた。
それを見ている男性陣の目線が少し気になったけれど、まずはカラカラのこの喉をなんとかしたかった。
ほぼ同時にドンッと机に置かれたジョッキを見つめていると、向かいから大きな声が発せられた。
「生二つお願いします!」
水鳥さんの注文の仕方は見た目とは違ってかなり豪快だ。
いっそ清々しいほどに。
くすりと笑いながら水鳥さんの方を向くと、いつもの艶やかな笑いと目が合った。
「さっきまでとは完全に別人だよな・・・」
何か別次元のものを見つめているかのように、松山はきょとんとしている。
手に持ったビールは口をつけた程度にしか減っておらず、グラスから大きな水の粒が滴っていた。
「この二人と一緒に飲むのは、いつも命がけだからな」
櫻井さんは、楽しそうにそう言った。
グラスを掲げる櫻井さんの声に、男性人はくすくす笑っていた。