だから私は雨の日が好き。【夏の章】※加筆修正版
森川が私の方を見て、自信満々に笑っていた。
櫻井さんは資料を抱えて、三人の目の前にある机に向かっていく。
「舞台袖でのエスコート役は、モデルの不安を取り除くのが第一。男の見せ所だから、精鋭部隊で頼んだぞ」
力強い櫻井さんの声に、三人は大きく返事をした。
それと同時に颯爽と歩き出すのを見て、はっと意識を取り戻す。
忙しすぎると頭がぼーっとして、一気にスイッチが切れてしまうことがある。
気を引き締めなければ。
うちの営業たちが凛々しい顔つきで、私の立っているドアに近づいてきた。
森川を先頭に松山、篠木、櫻井さんの順で。
ドアのところに立っている私に向かっ、拳を握り締めてグーを作る。
それに向かって、私もグーを作って合わせる。
森川が見せる、余裕な笑顔。
松山が見せる、ワクワクする表情。
篠木が見せる、真剣な眼差し。
一人ひとりと手を合わせて、三人を見送った。
今年はオフィシャルパートナーだけれど、来年は自分達が運営するのだ、と。
みんなが理解している。
みんなが考えている。
そういう空気を感じているからこそ、みんなが眩しく見えた。