だから私は雨の日が好き。【夏の章】※加筆修正版





「湊、どうして家にいるの?今日、仕事は?」




きょとんとした顔をした後、湊はにっこり微笑んだ。

なんだそんなことか、というように。




「今日は午後休が取れたんだ。と言っても、帰って来たのはさっきなんだけどね。そしたら時雨が寝てたから」


「え?」




ふふふ、と嬉しそうに湊は笑った。


私は仕事をサボっているのではないか、と疑ってしまったことが恥ずかしくて、俯いてしまった。

謝ってあげなければ、と思うのだけれどちょっと悔しい気もしていた。




「ごめんね、疑って。だって・・・湊、時々サボったりしてるから」


「から?」


「今日も、そうなんじゃないかと思って・・・」


「そっか。僕は、そんなイメージなんだね」


「違うの!・・・本当に、ごめんなさい」




ぼそぼそと謝罪と弁解をした私の顔を、顎からぐっと持ち上げられた。

おでことおでこがくっつく形になっても俯いている私に、くすくすと湊は笑っていた。




「そんなに笑うことないじゃない。・・・ごめんね」


「いいよ、気にしてない。サボってることがあるのも本当だし」


「うん。っていうか、そんな堂々と『サボってます宣言』は、社会人としてどうなの?」


「まぁ、いいじゃない。そんなのも」





< 65 / 188 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop