だから私は雨の日が好き。【夏の章】※加筆修正版
「湊、どうして家にいるの?今日、仕事は?」
きょとんとした顔をした後、湊はにっこり微笑んだ。
なんだそんなことか、というように。
「今日は午後休が取れたんだ。と言っても、帰って来たのはさっきなんだけどね。そしたら時雨が寝てたから」
「え?」
ふふふ、と嬉しそうに湊は笑った。
私は仕事をサボっているのではないか、と疑ってしまったことが恥ずかしくて、俯いてしまった。
謝ってあげなければ、と思うのだけれどちょっと悔しい気もしていた。
「ごめんね、疑って。だって・・・湊、時々サボったりしてるから」
「から?」
「今日も、そうなんじゃないかと思って・・・」
「そっか。僕は、そんなイメージなんだね」
「違うの!・・・本当に、ごめんなさい」
ぼそぼそと謝罪と弁解をした私の顔を、顎からぐっと持ち上げられた。
おでことおでこがくっつく形になっても俯いている私に、くすくすと湊は笑っていた。
「そんなに笑うことないじゃない。・・・ごめんね」
「いいよ、気にしてない。サボってることがあるのも本当だし」
「うん。っていうか、そんな堂々と『サボってます宣言』は、社会人としてどうなの?」
「まぁ、いいじゃない。そんなのも」