だから私は雨の日が好き。【夏の章】※加筆修正版
待ち合わせの時間まで、あと二時間。
変なことを考えて、悠長にしている時間はない。
まずはベタついている身体を流して、化粧をしよう。
今日は歩いているだけで暑いだろうから、髪の毛はまとめたほうがいいかもしれない。
服は・・・適当に後で考えよう。
デートに行くわけではないけれど、なんとなく楽しみになったので急いで準備をする。
休日に突然予定が入るのは、私にとって嬉しいことだった。
前もって決めた約束は、その日が近づくにつれてなんだか憂鬱になる。
嬉しくないわけではないはずなのに、その時間に合わせて自分を『縛られている』という感覚になるのだ。
そんな訳はなくて。
約束をして決めたのは、自分自身であるはずなのに。
いつも息苦しさがやってくる。
『約束』という見えない枷が、私にはとても重たい物なのかもしれない。
けれど、突然の誘いはワクワクを連れてくる。
サプライズプレゼントを貰ったように、気持ちが弾むのが分かる。
それを知ってか知らずか、森川が私に電話をしてくるのは決まって『突然』なのだから。
お布団と洗濯物は、家を出る時に中に取り込んでいこう。
そうしなければ、夕方の少し冷たい空気で湿ったようになってしまうのだ。
ふわふわのお布団ではないけれど、少しでもお日様の匂いがするといいな、と思った。