シュシュ~番外編①~
昔から仲の良かった両親。

それは認めるし、そんな二人がオレは好きだ。

でもだからって、社長を辞めなくても、今までだって、

会社を誰かに押し付けて(もちろんオレに)旅行には行くし、

2人で出かけるのは日常茶飯事。

会長になる理由にはならない。


「それは認められないぞ、親父」

そう言い放ったが。


「まぁ、それも少しはあるが」

…少し、だと?ほぼ、の間違いだろ?


「なんだよ?」

「お前もそろそろいい歳だろ?度々社長代理も任せてきた。

部下や秘書たちの評判も上々だ。私が60歳と言う節目を機に

交代するのも、悪い話ではないだろう、龍之介」


「・・・」

確かに、60歳と言えば、定年の歳だったりもする。


「…まだ交代は、お前には早すぎるか?会社をまとめる力は、

お前にはないのか、龍之介?」

そう言ってオレを見つめる親父。


・・・はぁ。オレは大きく溜息をついた。


「…分かったよ」

オレの言葉に、満面の笑みになる親父。
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