シュシュ~番外編①~
そう言い終わる頃には、私は泣き出していた。

・・・ちゃんとわかってくれてた。

私の複雑な気持ちも・・・どう思っているのかも・・・

毎日が不安だった。

一度だって抱いてくれなかった龍之介。

私の事なんて、どうでもいいんだと思ってた。

…いつか、私の事捨てて、他の女性の所に行くんだと思ってた。


…でも、龍之介の気持ちは全然違うものだった。

私の為を想って、私が抱いてほしいと言えば、いつでも抱いてくれた。

私の気持ちを一番に考えて抱かなかっただけ。


それなのに、私一人だけ一人で勘違いして落ち込んで、

帰って龍之介を苦しめてるだけだった。



「・・・ごめんなさ、い」

「美織が謝る必要なんてない、悪いのは全部おれなんだから」


「違うんです」

「・・・何が?」

私を優しく抱きしめたまま、龍之介が問いかける。


「私ずっと勘違いしてたんです・・・

龍之介さんは、私の事なんて好きじゃないんだって・・・

お兄ちゃんが、貴方に冷たかったのは、私の想いを知っての事で。

お互いの気持ちを確かめさせる為に、今までのことすべて、

『演技』だったんです」
< 59 / 61 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop