シュシュ~番外編①~
演技と言う言葉に驚いて、龍之介は、

私から少し体を起こして、私を凝視する。


「私の結婚を申し込んできた大泉社長は演技じゃないんですけど。

私が付き合ってる事と、龍之介さんが彼氏だと言う事を知って

諦めてくれたんです…私が幸せになれる方法を考える。そう言ってくれて、

何もかもそこから先は演技してくれて、それを聞いた兄も、それに協力してくれた。

前に、薫子ちゃんの事で演技はしたから、何とかなるって言って」


「…東吾め」

龍之介さんは大きく溜息をつく。


「龍之介さんから何度も連絡貰って、どうしようもなく会いたくて、

それでも龍之介さんの気持ちは分からなかったから、我慢して、

やっとやっと、すべてが聞けた」


「…自分の恋愛は、てんでダメなんだ。

美織には、悪いコトをした、だから、これからはもっと、

何でも口にするし、美織をもう不安になんてさせない・・・」


「…私の事、どう思ってますか?」


「もちろん、ずっと変わらずに…愛してる」

そう言った龍之介の顔は、それはそれは、真っ赤な顔になっていた。

・・・愛の言葉を口にするのは本当に勇気がいるし、恥ずかしい。


だから龍之介にとって、この言葉は、世界一の言葉だと私は思う。



「私も、龍之介さんを、愛してます」

そう言って優しく微笑めば、龍之介の心の楔はすべて解けた。


…今夜はずっと眠れそうにないけど、

やっと二人はすべて結ばれる大事な夜・・・


end
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