Bussiness Trip
「そろそろ着くぞ」
戸上に肩をそっと揺さぶられて、雪乃が目を覚ますと、体にはスーツの上着がかけられている。
「これ、ありがと」
雪乃は少し照れながら、上着を戸上に手渡した。
「ああ。それにしても、爆睡だったな」
「悪かったわね」
「いや、疲れてたんだなと思って。最近、仕事きついのか?」
戸上の言葉はどこまでも思いやりにあふれている。
こういうさり気ない一言がさっと出てくるあたりに、人気の理由があるのかもしれない。