Bussiness Trip
しばらく待って、乗り込んだ広電は、平日のお昼間なのに賑わっていた。
この路面電車に乗るのも今回の旅の楽しみの一つだった。
雪乃は”隠れ鉄子”で、乗り物全般が好きなのだが、とりわけ電車が好きだった。
夢中で車窓に見入っていると、戸上が話しかけてきた。
「昼飯はオシャレな店がいい? それとも、ご当地飯がいいか?」
「せっかくだから、広島名物が食べたい」
「だよな。良かった、おまえが、ランチはイタリアンじゃなきゃとか言う、女子じゃなくて」
そう言って、戸上が笑った。