Bussiness Trip

初対面の人間に、いろいろ説明するのも面倒くさくて、なんて答えようかと考えあぐねていた時、

「軽くつまめるもの、適当にお願いします」

静かな声で、戸上がバーテンに注文しながら、尋ねる。

「何か食べたい物あるか？」

「じゃあ、野菜スティック」

「それも」


戸上はこういう店に慣れているのだろうか。
雪乃はさっきから身の置き所がなくて、ついてきたことを後悔しているというのに、戸上は悠々とグラスを傾けて、楽しんでいるみたいだ。