Bussiness Trip

寝ぼけた様子で戸上が手を出す。
その手にペットボトルを渡すとごくごくと残りを飲みほした。
手にボトルを握ったまま、またバタンとベッドに寝転びそうになるから、雪乃が慌ててボトルを奪い返す。

「もう、こぼれるでしょ」

そう言っても、本人は全く聞いていない。

「あーあ、いつになったら起きてくれるんだろ」

独り言をつぶやきつつ、雪乃は今日の研修の資料をソファーの上で読み返していた。


11月末ともなれば、夜中はけっこう冷える。
予備の毛布を体にぐるぐると巻きつけて、一人用のソファーに座っているうちに、旅の疲れもあり、雪乃はいつの間にか眠りに落ちていた。

はじめのうちは寒い寒いと思いながら、毛布を何度も引っ張り上げていたのに、途中から体がぬくぬくとして、気持ちよくて、旅先なのに心地よい眠りについていた。
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