Bussiness Trip

おそるおそる振り向くと、戸上に背中から抱え込まれるように抱きしめられていた。
しかも戸上の左手が、自分の胸に添えられている。
雪乃は慌ててその手を振り払い、がばっと飛び起きると、ベッドから転がり出て、胸をかばうように手をクロスする。

「もう、朝か? ああ、頭、痛え」

戸上がベッドの上で、上半身を起こし、寝ぼけ眼をこすっている。

「あの、どうして……? 私……なんで、なんで……ここで寝てたの?」

「あんまり、大きな声出すな。頭にひびくから」
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