Bussiness Trip

「何もしてない。まあ、夕べはできなかったって言うか……」

戸上が頭をぽりぽりとかいている。

「それ、どういう意味?」

雪乃は戸上の言っている意味がわからなくて、きょとんとして聞き返す。

「は? おまえ、それ俺に言わせるのかよ」

戸上が照れたように顔を背ける。

「?」

戸上の態度がよくわからなくて、じっと答えを待っていると、

「男は酔っぱらうとできないんだよ!」

戸上が大きな声で言った。

その言葉の意味が正しく脳内で理解されたとたん、雪乃の顔が真っ赤になった。
顔から火が出る、まさにそんな心境だった。

『どうしよう、どうしよう、私、何、聞いてるの』

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