Bussiness Trip
「ほんと迷惑な奴」
雪乃は怒りがおさまらない。
「もとはと言えば、おまえがほいほい郷野みたいな下心見え見えな男について行くのが悪いんだろ」
「下心なんて」
雪乃が絶句する。
「はっ? まさかおまえ、気づいてなかったの? 飲めないつってんのに、無理矢理酒飲まして何する気だってな」
「それは……」
戸上の言い分もわからなくはないと口ごもっていると、思いも寄らないことを戸上が言い放つ。
「それとも、俺が邪魔しなきゃ、あいつと一晩過ごしてたか?」
その言葉を聞いた瞬間、雪乃の戸惑いや恥ずかしさが、はっきりと怒りに変わる。
「そんなわけないじゃない! 何言ってるのよ」
鍵と鞄をつかむと、雪乃は怒って部屋を飛び出した。
「なんなんだよ」
戸上はバタンと閉められた扉に向かって叫んで、頭をかきむしる。