Bussiness Trip
――― 夕方。
2日間の研修が終わって、郷野に夕食を誘われた時、雪乃はきっぱり断って、駅に向かおうとしていた。
「おい、雪乃、待てよ」
俺に腕を掴まれた雪乃がきっと振り返った。
「何よ?」
「いいかげん、機嫌なおせよ」
俺は困った顔で言う。
「別に、怒ってないもの。これが普通」
雪乃のかたくなな態度に、そっとため息をついて聞いた。
「なあ、おまえ、新幹線のチケット取ってる?」
「え?」
「まだ取ってないなら、せっかくだから、広島で夕飯食べていかないか」
俺がそう誘うと、雪乃は返事に迷っているようだった。