Bussiness Trip
「昨日のお詫びに俺がおごるからさ」
「え、いいの?」
俺の申し出を聞いて、満面の笑みを浮かべる雪乃。
「なんだよ、急ににこにこしやがって」
「戸上のおごり? ほんとに、何でもいいの?」
目をキラキラ輝かせる雪乃につられて、俺も思わず笑みがこぼれた。
「ああ、何でもいいぞ」
「ほんとにほんと?」
「ああ」
「やった! 私もこのまま帰るの、つまらないなって思ってたの」
いそいそと鞄からガイドブックを取り出して、ここかここと指をさす雪乃に俺は微笑んだ。
「どっちでもいいぞ。駅からちょっと離れてるみたいだから、タクシー乗るか?」
「うん!」
今にも駆け出しそうな勢いだ。