Bussiness Trip

「昨日のお詫びに俺がおごるからさ」

「え、いいの?」

俺の申し出を聞いて、満面の笑みを浮かべる雪乃。

「なんだよ、急ににこにこしやがって」

「戸上のおごり? ほんとに、何でもいいの?」

目をキラキラ輝かせる雪乃につられて、俺も思わず笑みがこぼれた。

「ああ、何でもいいぞ」

「ほんとにほんと?」

「ああ」

「やった! 私もこのまま帰るの、つまらないなって思ってたの」


いそいそと鞄からガイドブックを取り出して、ここかここと指をさす雪乃に俺は微笑んだ。

「どっちでもいいぞ。駅からちょっと離れてるみたいだから、タクシー乗るか?」

「うん!」

今にも駆け出しそうな勢いだ。

< 70 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop