Bussiness Trip
その変わり身の早さにおかしさをかみ殺しながら、雪乃の言っていた店に着いた。
そこは郷土料理を会席仕立てで食べさせる店で、日本式庭園が売りの料亭だった。
あちこち物珍しげにキョロキョロする雪乃が微笑ましかったが、おのぼりさん丸出しなので、軽く注意する。
通された座敷は、庭に面した10畳ほどの個室だった。
「落ち着くねえ、こういうの」
「ああ、紅葉がきれいだな」
食前酒で頬を染める雪乃が本当にかわいくて、誘って良かったと心底思っていた。
料理はもう食べきれないというほど出てきて、俺は強い地酒に少し酔いが回っていた。
「わるい、ちょっと酔ったみたい。横にならせて」