花結び

徐々に近付く奇兵隊の屯所に緊張してしまう。

出逢ってから間もない、ましてや面識など一度も無い私に。

高杉は声を掛け、吉田は親切にしてくれる。


｢あっ…あの…!!｣


立ち止まり声をあげた七緒に、地面が擦れる音と共に双方の歩みが止まった。


｢邪魔になるなら…痛っ｣


手加減無しの痛みが額に走り、うつ向いていた面をあげる。

額の前には吉田が指を弾いたそのまま形があった。

デコピンされるなんて思わずに吉田の顔を凝視していれば、ゆっくりと諭すように言った。

｢売られるのが落ちだよ。
女の身なら周りに守ってくれる奴がいた方が得でしょ？｣


首を傾げて、どう？と言わんばかりの吉田の表情。


｢素直に、受け取っときなよ｣


.