花結び
明るい声に背後を振り向けば、派手な赤い着物姿の男が刀を片手に抱え七緒を見下ろしていた。
桜の木の幹に身体を預けている男は珍しげな目で、じっと此方を見ている。
「稔麿、俺幽霊みえた」
「心配無いよ。
俺にも見えてるから人間だよ」
引きつった顔で男は真下に居るもう一人の男に助けを求めるように告げる。
短い髪の男とは対称的に、藍色の着物を着た男は長い髪を高い位置で結っている。
鋭さを含んだ目で七緒を見ていた稔麿と呼ばれた彼は、座り込む七緒の方へと歩みを進めた。
「血が出てる」
落ちた時、枝か何かで切ったのか、彼が触った場所に小さな痛みが走る。
「……っ手が汚れます」
久しぶりの人の温もりに、鼻の奥がツンとした。
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桜の木の幹に身体を預けている男は珍しげな目で、じっと此方を見ている。
「稔麿、俺幽霊みえた」
「心配無いよ。
俺にも見えてるから人間だよ」
引きつった顔で男は真下に居るもう一人の男に助けを求めるように告げる。
短い髪の男とは対称的に、藍色の着物を着た男は長い髪を高い位置で結っている。
鋭さを含んだ目で七緒を見ていた稔麿と呼ばれた彼は、座り込む七緒の方へと歩みを進めた。
「血が出てる」
落ちた時、枝か何かで切ったのか、彼が触った場所に小さな痛みが走る。
「……っ手が汚れます」
久しぶりの人の温もりに、鼻の奥がツンとした。
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