花結び
七緒が“落ちた”場所は奇兵隊の屯所からは程近い場所に位置しているらしく。

大きな建物が見えてくると、高杉さんがアレが屯所だと教えてくれた。



「晋作、さっき思ったんだけど」
「あ?」


後ろを振り返り気味に吉田は高杉へと視線を送る。


その視線を受け、高杉は首を傾げた。


「俺たち、一週間後に京に行くんだけど」


「……七緒も連れていけば問題ねぇよ」


「今、考えたよね?」


呆れたように溜め息混じりに言うと、七緒を真っ直ぐ見つめる。

七緒の不安げな表情に吉田は安心させるように笑いかけた。


「心配ないよ。
この馬鹿、意外に役に立つ」

「馬鹿だと!?」

「それ以上喚くと葬るよ。晋作」

噛み付くように言った高杉だが、すぐに勢いを無くしてしまう。


この二人に出逢ってから、おおよその関係が分かった。

絶対権力者は吉田さんで。

餌食になるのが高杉さんだと。

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